ショーシャンクの食卓に#27 – 欲のない器

誤解があってはいけないので先に断っておくが、欲のない器とは地味な器のことではない。そんなこと言ったら、凝った染付が施された器は欲があるということになる。僕が「欲のない」という言葉で伝えたいと意図するのは、そういうことではない。民藝的な、無銘ということでもない。日常の食卓のおける、てらいやケレン味の無い存在感のことを言っている。もっと噛み砕いて言うなら、それは「分別をわきまえている」ことではないかと思う。

一見どんなに凝った器でも、そこに盛り付ける料理が全くもって意識されていない、「料理なのことなど知るか!俺を、俺だけを見よ!」という欲に満ちたものは、使いようが無い。それならば無銘の雑器がよろしいかと言うと、それも違って、料理や食べる人のことを思った苦心が払われていない量販の器には、「売れりゃいいんだ!売れりゃ!」という欲がまとわりついている。料理と器は不可分であり、互いを欠いては意味を成さない。その不可分性を大切にしている器こそが、分別をわきまえた欲のない器ということになろうか。

偉そうに御託を並べたけど、器に分別を求めるだけの器量が備わっているかを自らに問い続け、分別をわきまえることも、忘れずにおきたい。

背負子 店主

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